アレクサンダーテクニーク・コングレス
7月29日から8月4日まで、米国シカゴで行われたアレクサンダーテクニーク・コングレスに行っていました。3年に一度行われる大イベントで、世界中からアレクサンダーテクニークの指導者と訓練生が集まります。
今回で11回目で、第1回が1986年でこのときはニューヨークだったんですが、それ以来の米国開催となり、米国の先生たちを中心に多くの教師や訓練生、または一般の生徒さんたちが集まりました。総勢600人を超えていたようです。
私も有名どころの先生を中心にクラスに参加して、効果的なアプローチや指導方法、新しい見解などを学んできました。Ted Dimon, Missy Vineyard, Rajal Cohen, Ron Dennis, John Baronなどの先生たちのクラスに出てきました。(AT界以外の人にとっては、誰それ?という感じですが。。)
そして、facebook等で議論していた人と、初めて会って話したりしました。色々と議論を言い合っても、会ってみると、みんないい人なんですよね。
まあ、とにかく忙しい1週間でしたが、新しい発想や知見を見出すだけでなく、エネルギーをもらえる機会になったことは間違いありません。次回の開催は3年後の2021年で、ベルリンでやるそうです。
ワークショップとレッスンを実施
このイベントで私もワークショップをやりましたし、プライベートレッスンで多くの人に自分のアプローチの仕方をシェアしてきました。
そして、レッスンをした一人で、英国人のホームドクターのブライアン・マケロイ(Bryan McElroy)さんから、レッスンの感想をもらいました。彼は、アレクサンダーテクニークの教師訓練生でもあり、バイロン・ケイティ等の心理系のワークも関心をもって勉強されているそうです。
通常のレッスンほど時間をかけたものではないですが、短時間のなかで変化を感じてもらえて、私のアプローチのポイントを掴んでくれました。
ポールさんとのレッスン(翻訳)
ポールさんの指導方法はとてもシンプルで明確、そして効果的なものでした。なじみのある自分のいつもの体の支え方よりも有利な体の支え方をどのように得るべきかの彼の説明に感心しました。それによって、足裏を通じて床とつながった感覚を得ました。これこそ体を落ち着かせる基本的なことです。
私たちが3次元の広がりと収縮をする構造体であって、自分が特に腹筋群の筋緊張を加えていると呼吸が制約されることを、誰もがわかるような形で教えてくれました。ちょっとした歩きのアクティビティの中でこれを経験することができ、そして腹筋の緊張を解放することで、呼吸が深くなることがわかりました。その感覚はすばらしいものでした。これを通じて、自分がいかに腹筋の緊張を強めていたかを知りました。この緊張が上半身に働く下向きの収縮の力となり、頭を後ろに下に引き下げていることにも気づきました。この腹筋を通じた間接的な首の緊張のリリース方法は、私にとっては新しいものでした。
ポールさんはまた、私の歩き方の中に、習慣的に自分にダメージを与えていることを見つけてくれました。歩く際の立脚期(足を地面につけているときのフェーズ)に膝を曲げてしまっていることです。この立脚期に膝を伸ばして適切な筋のトーン(張り)を促すことで、地面とのコンタクトをより感じられ、体全体でそのサポートを得られることを学びました。その方が構造的に有利だったんですね。
ここまでの学びは、だいたい20分くらいのレッスンで得たことです。
ポールさんは、私たちの体が全体としてどのように機能するかについて深く理解していて、アレクサンダーテクニークの指導の才能に長けていると思います。このように短時間で簡単に理解させる説明をできる人に出会うことは滅多にないことでしょう。彼は、多くの人の姿勢の問題や、構造的な腰痛の問題、過剰な緊張の問題の改善に貢献できると思います。指導者として彼を強くお勧めします。
ブライアン・マケロイ(英国のホームドクター、アレクサンダーテクニークの教師訓練生)
※青木が翻訳
原文
“Work with Paul Aoki
Paul’s teaching methods are remarkably simple, clear and effective. I enjoyed how he describes how we can use our support, the support structures of our bodies in a more advantageous way, than we do usually do in our familiar patterns. I found myself connecting with the floor through my feet. This is the foundation for the rest of my body. He illustrated clearly that I am a 3 dimensional expanding and contracting structure, and that if I hold tension, especially in my abdominal muscles, this interferes with my breathing in a very obvious way. I experienced this, in a little walking exercise and found that I was able to release a sense of contraction in my abdominal muscles and my breathe deepened. It felt great. I was also able to sense how if I contracted in the abdomen, this would lead to a downward contraction in my torso and pull my head back and down. This way of working indirectly, through the abdominal muscles to release my neck was new to me.
Paul also observed that I habitually expend excess energy and undermine my support in my habitual walk. He showed me how I was bending my knees on the heel strike and the flat foot phase of my walk. I learned that by having my knees engages a more extended tone during these phases led me to having more contact with the floor, right up through my entire structure and it was also more mechanically advantageous.
All of the above in about 20 minutes.
I think Paul has a profound understanding of how the body works as a whole and a great talent in the field of Alexander technique teaching. It is rare to come across someone who can articulate ideas so clearly that learning is quick and effortless. I think he has the potential to help many, many people with posture, mechanical back pain issues, or anyone who feels that they are holding bodily tension.
I would highly recommend him as a teacher.”
Bryan McElroy, GP (Family Doctor) & Alexander technique teacher trainee -United Kingdom
https://bryanmcelroygp.com
ブライアンについて
オーソドックスのアプローチとはだいぶ異なるんですが、彼は最初からそれを否定せず、冷静に受け入れてみて客観的に評価するというスタンスでいてくれる人でしたね。そういう人に高評価をもらえたことは、とても自信になりました。すごく具体的に書いてもらえているので、アプローチの仕方の特徴がよく表れていると思います。
実は、彼はコングレスの最初の日に、朝一の最初に偶然会って、声かけたことがきっかけだったんですよね。見た感じは、少しヒッピーっぽい感じだったので、ドクターと聞いたときはびっくりしましたけどね。「ドクターっぽくないね」と本人に言ったら、「よく言われる」と言っていたくらい。
まあ、何はともあれ出会いに感謝ですね。
他にも数人の方々に実際にレッスンし、そのうちの多くの人から良い評価をもらったり、強い関心を示してもらえました。東京のレッスンで外国人の方々に伝えていた経験もあったので、このアプローチは海外の人たちにも役立つことはわかっていましたが、あらためてそれが可能であることを再認識しました。
今後とも日本だけでなく、世界の多くの人に有利な体の使い方を伝えていきたいですね。
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