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理想的な姿勢アライメントでは本来的な筋の働きとなる
立骨重心制御状態における一つの特徴は,それが背側の抗重力筋群を適切に用いた体の支え方となることである。立位時に立骨重心制御によって,実行者の重心が適切位置に位置づけられ,姿勢が理想的な姿勢アライメントとなった場合は,背側の脊柱起立筋や殿筋,大腿二頭筋,下腿三頭筋が用いられることになる。これらが働く状態は,本来的な筋の働き方の状態といえる。体が前側に倒れようとしているものを,背側の筋群が支える形で体が支えられる状態が,本来的な状態となる。
一方で,体位状態が骨傾斜容認状態で骨盤スライド後傾となっていたり,重心乖離容認状態で重心が後方に乖離していれば,前側の腹筋群や大腿四頭筋などが体を支える働きを主に担うようになる。これは,本来的な筋の働き方の状態ではない。
本来的な筋の働き方の状態ではない場合は,代償が伴うことになる。その一つが,腹筋群が過度に働くことである。腹筋群は呼吸に関与することから,腹筋群の過度の働きは呼吸の制約をもたらすことになる。また,腹筋群は胸郭までしか制御できず,頭頸部の向き調節までは担えない。このため,頭頸部の支え方も本来的な状態から変わることになる。
(第1章その19につづく)
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