有利な体の使い方:第1章その2

有利な体の使い方 姿勢・動作・呼吸・発声
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2. 体を支える骨を立てる制御

目次

体を支える骨,骨を立てることの定義

まずは,有利な体位維持の仕方の条件として挙げた「体を支える骨を立てる」ことについて,その定義と特徴について述べる。

体を支える骨は,私が以下に定義するものである。体を支える骨とは,立位時に体の重量による荷重を受け,その下の骨や床から反力を受ける骨のことを表している。文字通り体を支えている骨となる。体を支える骨は,頭・首・胴体・脚・足という体の軸に相当する体軸を構成する骨である。具体的に挙げれば,体を支える骨は,中足骨や踵骨,距骨などの足の骨,脛骨,大腿骨,寛骨と仙骨で形成する骨盤,腰椎・胸椎・頸椎,頭蓋骨の骨である。

この「体を支える骨を立てた状態」のことを「立骨状態」とも呼ぶこととする。立骨状態とは,私が以下に定義する骨の関係の状態であり,その略称である。立骨状態とは,ある体を支える骨が,その下に隣接する体を支える骨の関節面に荷重を最大の接触面積で伝えている状態のことである。この際,下の骨が止まっていれば,その体を支える骨は下の骨から関節面において最大の接触面積で反力を得ることになる。また,最上段に位置する頭蓋骨を除けば,体を支える骨は上下で骨や床と接している。このことから,全ての体を支える骨が立骨状態となった時は,体を支える骨がその上下から最大の面積で荷重と反力を受けることになることを示している。立骨状態とは,このような骨の関係の状態を示している。

「骨が立つ状態」「立骨状態」という略称の理由は,ある体を支える骨が立骨状態であれば,その骨は,水平な面を持つ立方体のような構造物が水平な面に立つ状態のように安定しやすいからである。

このように最大の接触面積で荷重をかけている荷重のかけ方のことを,ここでは「最大面積荷重」と呼ぶことにする[11]。つまり,立骨状態は,ある体を支える骨が下の骨に最大面積荷重をかけている状態となる。そして,その骨は止まっている下の骨から最大面積荷重の反力を受けていることとなる。

第1章その3につづく)

脚注

[11] 荷重のかけ方の特徴を示す表現の一つに等分布荷重というものがある。この等分布荷重と最大面積荷重は,異なる概念である。等分布荷重は,荷重のかかる面において荷重が均等であることを示すものだが,荷重のかかる面積の大小を表すものではない。荷重のかかる面積が小さくとも均等に荷重がかけられていれば,等分布荷重といえる。最大面積荷重は,荷重のかかる面積を最大にする荷重のかけ方であり,均等に荷重されることを表すものではない。場合によっては,最大面積荷重は等分布荷重に近似するものとなり得るものの,両者には概念の違いがある。

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