第6章 有利な体位維持の仕方の実現方法(その7)

有利な体の使い方 姿勢・動作・呼吸・発声
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5. 顎の支え方

顎の骨である下顎骨は,腕と同様に頭蓋骨から筋群や靭帯で吊り下げられる形で支えられている。有利意図の人は,その構造通り「頭が,顎を吊り下げている」という意図を持つことで,顎を支えるにあたって過剰な筋緊張を生じさせずに済み,顎の動きの制約を回避できる。

外観上は顎の骨である下顎骨と頭蓋骨で顔を形成しているため,私達は下顎骨も頭蓋骨と一緒に考えてしまいやすく,顎も「頭の一部」として共に支えてしまいやすい。これは,頭と共に顎も上に支えるようとする意図となるが,実行者がこのように意図していると,顎を上方向に支え続ける筋緊張を過剰にしてしまいやすい。有利意図の人は,頭を「顔の半分よりも上の部位」と考え,顎については頭蓋骨から独立して動ける肢の一つであるという認識を持つ方がよい。

有利意図の人は,口を開くように顎を動かす際には,安定させる部位と動かす部位の双方を考えていくとよい。つまり,「顔の半分よりも上の頭は安定していて,顎を動かす」と意図するのである。実行者は噛む動きに加えて,発声時に口を大きく開ける動きを最小限の筋緊張で実現しやすいだろう。

一定の割合の人は,噛み締める癖を持っている。噛み締める癖を持つ人は,過剰共縮制動で腹筋群や首の筋群の筋緊張を過剰にするパターンに陥っている場合が多いと考えている。実行者が腹筋群と首の筋群の筋緊張を強くしている場合には,実行者はこれらに拮抗するために下顎を支える筋緊張も同時に強くしていやすい。

噛み締め癖を持つ人は,即席保全の是正を考えて,時々自身の状態に気づくようにして有利な体位維持を実現していくとよい。その上で,顎を吊り下げる意図を持ち,常に上の歯列と下の歯列にスペースを設けて接触させないようにするとよい。顎関節症の症状を訴える人も,全身の支え方が関わると考えて有利な体位維持を実現し,自身の顎の支え方や反応に注意を向けていくとよい。

指示の仕方:顎の支え方

  • 頭が顎を吊り下げている意図を持つ。
  • 頭と顎の双方を考え,頭を最高位置に位置づけて安定させて,顎を吊り下げる,顎を動かすことを意図する。
  • 通常時は,上の歯列と下の歯列は接触していない状態でよい。実行者が噛み締めていることに気づいたら,それをやめるようにする。

第6章その8につづく)
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