前編・後編の2回で終わるかと思ったら、意外に長くなったので、その2を加えました。。
叔父さんの歩き方をチェック
で、歩き方も提案していきます。
歩くときの叔父さんの一つの不利な癖が「腕を振る」ことです。
正確にいうと、腕を必要以上に振ってしまってる、ということです。腕を積極的に振って歩こうとしてるんですよね。
これもよくありがちなことですが、不利な癖の一つで体の力は抜きにくくなります。
腕は積極的に振らなくていい
歩くときは、腕を積極的に振る必要はないんです。
腕はぶら下げておけばいいだけです。そうやって歩いていると、勝手に揺れます。それでしばらく歩いていると、左右交互に揺れてきて、歩いているときの適度な腕の揺れになります。
この「揺れ」と「振る」の違いなんですね。
揺れを意図的に作ろうと「振って」しまうと、肩の緊張が腹筋の緊張を誘発してしまいます。
で、息が浅くなって、首も緊張も強くなって、体をやや硬めた状態で歩くことになってしまいます。
もう一度言いますが、歩くときに腕を「振る」必要はないんです。
走るときは別ですが、歩くときに関していえば、腕を振らなくとも十分に問題なく歩けるのです。
もちろん、腕を止めておく必要もないわけで、ただぶら下げていれば、脚の運びから起こされる揺れによって、腕は自然に揺れてきます。それに任せていればいいんです。
それを意図的に作ろうとすると、余計な力が必要となっちゃうんですね。
とまあ、こんな感じで他の細かいことも色々と指摘しながら、歩きのテーマは終了。
座り方をチェック
つづいて質問。
腰から脚のしびれの原因がいったい何から来ているのか、を把握するために、とりあえず普段の生活の過ごし方を聞いていきます。一番多く過ごす時間のときに、慢性的な問題の原因があることは多いので。
教室のダイニングチェアに座ってもらう。背もたれにもたれて腰掛ける叔父さん。
しかし、背もたれに体の重さを預け切れていないことがわかりました。どうしてわかるかというと、これには指導者の訓練が必要なのですが、人を見て筋肉の緊張の状態とか、呼吸の状態とかわかるんですよね。
ミラーニューロンという私たちの脳の一つの能力を使っているんです。なので、訓練すればみんなできるようになる。まあ、訓練しなくても、みんなそれなりにこの能力で相手の緊張とかをうすうす感じ取っているんですけどね。
背もたれに預け切れていない
とにかく、呼吸の感じと、腹筋の緊張の感じが伝わってきて、背もたれに預け切っていないことはわかります。ハンズオンで背中に触れてみると確実にわかります。
背もたれを使うときは、上半身は後ろに倒れる力を受けます。その倒れるがままに背もたれに預けてよかったのですが、叔父さんは無自覚ながら倒れる力を体の前の筋(特に腹筋群とか腸腰筋とか)を使って軽く支えてしまっているんです。
腹筋をはじめとした筋群の緊張をもう少し抜いても、問題なく座っていられる状態だったわけです。つまり、過剰に筋緊張させていたのですが、叔父さんはそれには気づいてはいません。
筋肉の緊張の程度は自分では気づきにくい
この過剰な筋肉の緊張というのは、なかなか自分では気づけないものなんですよ。
これを読んでくれている読者の方だって、もしかしたらこの瞬間も腹筋や首の筋肉を過剰に収縮させて緊張させているかもしれないんですけど、自分では「過剰かどうか」を評価できなくないですか?
周りの人と見比べたって、わかりませんよね。
姿勢の形の違いは鏡とか見れば、自分でわかるけど、筋肉の緊張の程度というのはわかりにくいんですよね。普段から筋電図使ったりするわけじゃないし。
自分の経験として、適正レベルの筋緊張で行った経験を持っていて、そのときの感覚をある程度認識できていないと、自分が今感じている緊張の度合いの評価はできないんです。
でも、普段はいつも同じやり方でやってしまっているので、他の感覚経験もそれほど持てていないし、適正レベルの筋緊張かどうかもわかりようが基本的にはない。
この唯一といっていいくらいの解決方法が、アレクサンダーテクニークレッスンとなるんですね。
特に私は、この筋緊張の程度を自分で評価できるような技術習得を徹底しています。
基準となる感覚を伝えて、客観的に現状の筋緊張状態を評価できるようにする仕方をレッスンでお伝えしています。
だから、私のコースレッスンを受講したクライアントの方は、自分で過剰な緊張かどうかを評価できるんですね。これは一般的な人はできていないので、自慢できる技術なんですね。
とまあ、脱線してしまいましたが、叔父さんの座り方に戻ります。
- 体重を背もたれと座面に預ける。
- 息をふーっとゆっくり吐き(ため息のような感じで)、お腹が勝手に膨らんだりへこんだり動く感じがあったらOK。
- 胴体までは椅子に預けられるが、頭だけは支えることになっている。頭を胴体の上に乗せているように思い、できるだけ首の緊張を入れないようにする。一つの目安としては、耳が肩峰の上くらいにくる感じがいいでしょう。
このように叔父さんを導きます。呼吸の状態(質、クオリティ)が一つのポイントですね。
これについても、元の今までの座り方にあえて戻ってもらって、自分のやっていたこととよりよいやり方の違いを再度確認してもらいます。
そんなこんなで次のテーマにうつってゆきます。
(その3につづく)
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