第4章 即席保全の自動プログラムとその影響(その1)

有利な体の使い方 姿勢・動作・呼吸・発声




1. 即席保全という対処の仕方

一定の割合の人は,骨傾斜容認や重心乖離容認でいて張力事後対応に陥りやすく,動作時には過剰共縮制動に陥りやすいことを前章までで述べてきた。これらは,いずれも不利な対処の仕方である。そして,これらの体位維持の仕方には共通する特徴がある。それは,筋緊張に依存する単純かつ汎用的な対処の仕方であることである。そして,この特徴ゆえに,これらの対処の仕方は,実行者の注意を要しないものとなる。

私達は自身の活動や思考の方に注意を向ける一方で,体を支える活動にはあまり注意を向けようとしないだろう。そして,一定の割合の人は,活動や思考に注意を集中し,何も考えずとも体位維持を達成できるように,これらの対処の仕方を採用するのであろう。しかし,実行者がこれらの対処の仕方を採用しているということは,その実行者は体位維持の仕方の有利性を考えているわけではなく,即席で体位を維持しているといえる。骨傾斜容認や重心乖離容認でいた時の張力事後対応や,過剰共縮制動は,即席の対処の仕方といえる。

なぜ,一定の割合の人がこうした即席の対処に陥りやすいのかを更につきつめて考えれば,私達ヒトが持つ筋力は強く,また筋を操る能力は高いなど,その許容力の大きさが多少の不利な状態でもそれを補って私達の体位維持を可能とさせてしまうからとも考えられる。喩えていえば,私達には,私達が倒れないようにセーフティネットが張られており,私達はこのセーフティネットを使わずとも体位を維持することができるものの,いつでもそのセーフティネット使うことができることから,それを日常的に使ってしまうのではないか,という考えである。しかし,この対処の仕方は,あくまでもセーフティネットを利用する仕方であって,有利なものとはいえない。その仕方は,セーフティネットを用いたものであるから実行者の体位維持を成り立たせるものの,負担が大きいなど,その体位維持の仕方は有利なものではなくなる。

実行者が骨傾斜容認や重心乖離容認でいて張力事後対応をし,過剰共縮制動をしているということは,実行者は様々な不安定な状態でもある程度達成してしまう自らの筋力とそれを操る能力に依存し,効率などの有利性を考慮せず,即席で体位維持の保全を図っているものといえる。このことから,これらの対処の仕方をまとめて「筋能力依存による即席保全」と呼ぶことにする。そして「即席保全」と省略して呼ぶことにする。即席保全は,こうした対処の仕方を採用していく実行者の態度も示すものとする。

第4章その2につづく)
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