第4章 即席保全の自動プログラムとその影響(その6)

有利な体の使い方 姿勢・動作・呼吸・発声




3. 至りやすい体の症状,パフォーマンスや呼吸への影響(つづき)

呼吸が浅い状態になる。有効な呼吸ができなくなる

実行者が即席保全でいれば,骨盤を後傾させて,胸郭を前傾させていたり,重心を後方に乖離させていたりする。この場合は,実行者はそれだけで呼吸を制約することになる。実行者がこうした状態で動作する場合は,過剰共縮制動やバルサルバ操作を採用することから,呼吸を更に制約することになる。動作時に息をつめて,呼吸を浅くしているだろう。

特に,座位では,実行者は骨盤後傾や胸郭前傾を起こしやすく,また行う作業の継続する時間が長くなり,実行者は呼吸を浅くしていやすい。現代では仕事でもプライベートでもパソコンを使う作業が多い。私達は,それを座位で一定時間継続して行う。一定の割合の人は,タイピング動作を速い速度で,かつ力強く行っている。その場合は,過剰共縮制動で腹筋群を必要以上に筋緊張させることになり,実行者の呼吸は制約されて,実行者は浅い呼吸をしているだろう。デスクワーク時に呼吸を浅くしている人は,私のクライアントでは非常に多い。

このように呼吸を浅くしている人は,しっかりと息を吐けていないように考えている。こうした人自身はそのようには思っていない場合が多い。私が見る限りでは,こうした人は吸息を増やそうとしていやすい。こうした人は無自覚ながら,呼吸の浅さを,息を吸うことで補おうとして,吸息を頻繁に行っていたり,または吸気量を増やそうと強く吸息を行っていたりする。実行者が,頻繁に吸気したり,強く吸息する場合は,吸息の筋である首周りや背部の筋群を過度に働かせることになり,首や背部のこれらの筋群の負担を大きくすることになる。

呼吸を浅くしている人は,その浅い呼吸が通常の状態となっていて,その感覚に慣れもあって自身が適切に呼吸をしていないことには気づきにくい。そして,こうした人は,意識的に呼吸をした際にどのようにすれば効率的な呼吸となるのかがわからなくなっているかもしれない。

悪い姿勢が呼吸の浅さをもたらしていることを認識していて,姿勢をよくしようと試みている人もいるが,即席保全の自動プログラムを定着させていれば,よい姿勢を筋緊張の強い状態で形成してしまい,過度な脊柱伸展を行ってしまうことがある。この場合も腹筋群の筋緊張もあって呼吸活動をそれほど改善させられない中で,筋緊張の強さから首や背部にこりなどを感じてしまうだろう。ひどい人は,背中の張りと頭痛なども加わって吐き気を感じる場合もある。このように,即席保全でいてその筋緊張の程度が強い人は,呼吸の浅さや筋のこりから解放されにくい。常時,筋緊張が強くなり,非常に不快に感じている人もいる。こうした人は,不快な状態から脱却できないことから,体の状態自体をストレスと感じてしまうだろう。イライラする気持ちになったり,落ち着きにくかったりしやすいだろう。

呼吸の浅さは,一般的には大きな問題と認識されにくい。しかし,呼吸が浅い場合は,その人は,あせりやすく,落ち着きにくくなっていたり,イライラしやすかったりするなど,特に心理面に影響が及ぶと考えている。一定の割合の人は,心理的なプレッシャーを受けるような際に,あせってしまい,いつものように話せない,動けない,パフォーマンスができないことがある。これにも呼吸の浅さが関係していると考えている。呼吸を効率的に行えること,または呼吸を楽に行えることは,平時においても実行者に心理的な落ち着きをもたらし得るが,特に実行者が心理的なプレッシャーを受けるような活動をする際に役立つことになると考えている。

第4章その7につづく)
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