床生活での座り方と、座布のおすすめ




アレクサンダーテクニークのレッスンでは、クライアントの日常生活の仕方について、色々と見ていきます。
腰痛や首の痛みの原因は、だいたいが日常生活の仕方が原因だからです。

一定の割合の人が、「床生活(ゆかせいかつ)」をされているんですよね。
床生活というのは、椅子に座る生活(椅子生活としておきます)ではなく、床にじかに座って過ごす生活のことです。
地べた生活や、床座生活とも言ったりするんですね。

床生活は、椅子がない分、部屋の開放感もあったり、くつろげるイメージがありますが、デメリットもあります。それは、床生活は、椅子生活に比べて、首、肩、腰に負担がかかりやすいということです。

ということもあって、選べるのであれば、あまり床生活は勧めないのですが、いろいろな事情だったりで床生活の方はいらっしゃいますよね。ご両親と一緒に生活するとか。リビング的な部屋は、畳の部屋だったりとか。

負担がかかりやすいというデメリットを乗り越えて、床生活の人がより楽になれる体の使い方と、サポートグッズについて紹介していきます



床生活では、まずもって姿勢に対する意識が必要

クライアントで椅子生活をしている人に次のことをよく言います。

ポール先生
椅子生活の人よりも、体の使い方に意識とマネージメントが必要ですよ。

というのは、問題の一つに、この姿勢マネージメント意識のなさがあると思うからです。

昔は、日本人は多くが床生活でしたよね。私の実家でも、祖父母と暮らしていたこともあって、そうでした。そして、昔の人はけっこう姿勢に対して意識が高かったのではと思います。それは家庭教育でも、学校教育でも姿勢を整えるように言われたからでしょう。

その背景には、マナー的なものもあったとは思いますが、それとともに体の負担を軽くする経験的な知恵もあったのではないかと思います。

なので、座るときに姿勢に気をつける、というのは当たり前のような意識が染み付いていたのではないかと思います。

しかし、今のご時世では姿勢って注意される機会がだいぶ減りましたよね。家庭もそうだし、学校でも。だから、姿勢をあまり気にしない人が増えて当然です

椅子生活だって、ある程度気にしないと負担が増えるわけだけど、その人たちがその感覚で床生活をするとより問題が大きくなる

まあ、床生活をするのであれば、姿勢というか体の支え方を考えないと、床生活では首肩こりは当たり前になってしまいます。大前提として、姿勢マネージメントする意識を持ってほしいですね。

なぜ床生活の人は、背中に負担がかかりやすいのか?

ズバリ、その答えは、骨盤が後傾しやすいからです。

「猫背になりやすい」というのもそうなんですが、どうして猫背になりやすいかと突き詰めて考えれば、それは骨盤が後傾するからなんです。

床に座るときに限らず、とにかく座るときに共通の原因は、骨盤が後傾しやすいことで、床生活は特に後傾しやすく、その後傾度合いも大きくなるので、首や背中に負担が生じやすいのです。

どうしてか。それは、膝の位置が股関節の位置よりも高くなってしまうから

太ももの裏側のハムストリングスという筋肉がありますが、膝の位置が股関節よりも高くなると、ハムストリングスが伸ばされる状態となり、ハムストリングスが付着する骨盤を引っ張る形になってしまいます。

このため骨盤が後傾してしまう。で、骨盤が後傾すると、猫背になる。背骨が突っ張り棒のような役割をはたしにくくなり、その分、筋力で上半身を支える必要が生じるわけです。よく猫背が原因と思われてますが、さきほども言ったように、この真因は骨盤の後傾です。

骨盤は、背骨の基盤にあたり、骨盤の角度は背骨の立ち上がり角度となります背骨(脊椎)は、立ち上がり角度が適切なものでなければ、最適なアライメントにはならないんです。この辺りは「有利な体の使い方」でも解説しました。

有利な体の使い方:第1章その13

2018.01.13

骨盤が後傾していたら、どれだけ背骨がきれいにまっすぐになっているように見えても、首とか背中には筋緊張が生じてしまうことになるんです。

椅子に座る場合は、膝の位置を股関節と同じかやや下げられます。このため、ハムストリングスの引っ張りは減り、骨盤をより起こしやすくなる。

床で座るパターンで最も首とかが疲れるのが、体育座りと、足伸ばし座りでしょう。
この二つは、骨盤を起こせなくなりますから。

(※)足伸ばし座りは、膝の位置は股関節と同じ高さですが、脚を伸ばす状態のため、やはりハムストリングスが伸びてしまって、骨盤を起こせない。

床生活でこの影響を受けない座り方が一つだけあります。それは正座
正座では、膝の位置は股関節よりも低くなる。このため、ハムストリングスの引っ張りは少なくなって、骨盤を起こしやすくなる。

床生活は、この骨盤の後傾しやすさ、その程度が椅子生活と違うんですね。
そのため、背骨は丸くなり、首・肩・背中・腰の負担を得やすくなると。

床生活の人が実践すべきこと

1. 時々、骨盤を立てる座り方をする

一番の原因である骨盤後傾を是正する、これに尽きますね。選択肢としては、このようなものになるかと。

  • 正座して骨盤を立てる
  • 胡座(あぐら)で骨盤を立てる
  • 崩し正座、崩し胡座で骨盤を立てる

正座が最も骨盤を立てやすい。ただ、足がしびれるのがネックですね。。

胡座でも、ぎりぎり骨盤は立てられます。しかし、ハムストリングスの引っ張りに拮抗する必要があり、骨盤を起こすのにはそこそこ頑張る必要がある。慣れていないと、骨盤を起こすのに疲れてしまって、すぐに元の崩れた状態に戻ってしまうでしょうね。

骨盤を立てるには、「お腹を前に」と思って、お腹をせり出すようにするといいですよ。座っているときに、骨盤を起こす動きを導くリーディングエッジは「お腹」となるんです。

骨盤を立てようとするとき、背中の腰部を前に入れ込むようにする人もいるかもしれませんが、これだと背筋の筋緊張が強くなりやすいんです。動きはリーディングエッジで作るのが、一番やりやすい。

今まで骨盤を後傾させる姿勢が当たり前だった人には、「こんなに背すじを伸ばす感じになるの」と思うくらいになるかもしれません。

お腹を前にして骨盤を立てて、その状態でため息のような息を吐きましょう。お腹が呼吸に合わせて動く感じがあれば、腹筋緊張はある程度抜けているので、いい状態です。背筋の緊張も減ります。

こうした工夫をしながら、ずっとでなくて時々でいいので、骨盤を立てるようにする姿勢を実現していきましょう。

2. 長い時間なら、複数の姿勢をローテーションする

一つの姿勢をずっと続けるのは、たとえそれがどれだけ理想的な姿勢であってもしんどいものなんです。

特定箇所の負担が継続してしまうので、長い時間座る場合は、姿勢を変えて負担を付け替えてあげたほうがいいでしょう。

立っている状態であれば、上半身が理想的な状態でそれを長く続けても、そこまで背中や首・腰に負担は生じません。脚は疲れますが。。座った状態は、立っている状態よりも背中が疲れやすいんです。

それは、立っているときは、お尻の筋肉を上半身を起こすのに利用できるんですけど、座っているときはそれが使えなくて、背筋を重点的に使う形になってしまうからです。

骨盤が後傾した姿勢でもいいので、複数の姿勢をローテーションしましょう

3. サポートツールを使う

座布を使う

知っている人もいると思いますが、座禅(坐禅)で使う座布団です。坐布とも書くようです。

レッスンでこれに座ってもらったりすると、「これはラクですね」となって、注文されるケースは多いですね。

何がいいかというと、その厚みです。これがあることで、座った時に腰が脚に対して上にくることになり、膝の位置を股関節よりも下げられるようになるんです。だから、骨盤が立てやすくなると。

それまで胡座で骨盤を立ててもらった後に、これに座ってもらったりすると、ふっと骨盤を立てられるので、すごくラクに感じてもらえますね。

これを使えば長時間座っても、首への負担はだいぶラクになると思いますよ。もちろん骨盤を立てるなどのマネージメントはしてもらうのですが。

座布をまたいで崩した正座にしてもいいし、
体育座りや足伸ばし座りにしても、これがあるとだいぶラクになります。

もちろん、座布でなくとも、座布団でもいいといえばいい。ただ、厚手の和座布団を二枚用意して、それぞれ二つ折りにしたものを重ねたくらいにしないと、座布の高さ・しっかり感は出せないんですよね。一人暮らしの人なんかだと、和座布団を持っていない人もいますしね。

正座椅子という低い椅子のようなものでもいいんですが、他への利用用途という点まで考えると、やっぱり座布になるんですよね。

座布の他の利用用途とは

座布があると、他にも色々と重宝するんですよ。

肘掛けになり、クッション的に使える。

我が家には、ソファーもあって椅子もあるけど、時々は座布で床座りしたりします。で、それに飽きたら、ソファーに座るんですけど、この座布を縦に置くと肘掛けにちょうどいいんですよね。

肘掛けってあるのとないのとでは、ラクさが違いますよね。普段のオフィスワークでは私はあまり必要としませんが、リラックスしたいソファーで座るときには、あってほしい。ソファー自体に肘掛けがついているものもあるけど、低かったり、片側だけだったりするし。

そんなときにこの座布が重宝するんです。
体の横に置いて片方の腕を置いてもいいし、お腹の前に持ってきて両方の腕を置いてもいいし。
何なんでしょうね。やっぱり何か物があったほうがいいんですね。

私からすると、一般的なクッションというのは、あまり使えない。特に、座布を知ってしまった後は、その厚みのなさや反発のなさが、物足りなさすぎてしまいます。

もう一つは、オススメのストレッチにちょうどいいんです。

座布を背中の下に入れる形で横になって、背中を反らした状態になります。これを20秒から30秒くらい続けるというストレッチです。

どの筋をストレッチしているかというと、肋骨の間にある肋間筋や腹筋群です。もちろん、他にも大胸筋や背中の筋も合わせてストレッチされていますけどね。

この肋間筋や腹筋群というのは、普段の生活で収縮状態が続きやすい中で、あまり伸ばされない箇所だし、一般的なストレッチでも見逃されやすいところなんですよね。

そして、何よりもこの二つの筋は「呼吸筋群」であり、その中でも重要な位置付けを持っているものなんです。だから呼吸にとってすごくいい

バイオエナジェティクスという、やや心理系を扱うボディワークがあるんですけど、その創始者のアレクサンダーローエンも、この背中を反らすストレッチを勧めています。

この場合は、椅子にクッションを乗せて、それに背中を乗せるやり方です。この際にも、椅子の上に座布を乗せるとちょうどいいんですよ。寝て行うやり方よりも、ストレッチがきつくなるやり方なので、寝るバージョンで少し慣れてきた後に行った方がいいですね。



もちろん座禅にも。

これが本来の使い方になるわけですけどね。

やはり禅僧の長年の経験知がこれに現れている。
初心者バージョンでも、禅では30分くらいは座り続けますが、それでもできるだけ負担を少なくできるようになっている。

座禅する、瞑想する、マインドフルネスする、どのようなアプローチであっても、まずは体の支え方が基盤になっていて、その次に呼吸が整ってきて、最後に心が整うようになります

体の支え方が整わなければ、瞑想の効果は半減するといってもいいくらいでしょう。
それをこの座布はサポートしてくれます。

というわけで、座布は色々な利用ができて、重宝しますよ

サイズもいくつかあるようですが、オススメはやはり大(33cm)ですね。
他にも少し小さめの30cmとかもあるし、ビロード生地版もあるようです。

この滝田商店のものは、私も使っていますが、中綿のしっかりつまった感じがいいですね。

さいごに

床生活をされる方は、姿勢マネージメントの意識を持って、サポートツールも使いながら過ごされるといいと思います。

床生活は、すぐにゴローンとなれて、しかも大の字になれる良さもありますよね。
各種ストレッチもすぐしやすいし。

私も仕事するなら間違いなく椅子をとりますが、くつろぐならソファーよりも座布の時間の方が多いかな。








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